現在主に使われている文様7

立涌文〈タテワクモン〉
たちわきともいい、有職文様の一つで、波型のラインが2本向き合って並んだ文様です。ふくらんだ部分に、菊・桐・雲などの文様を詰めたものもあり、雲立涌、花立涌、波立涌などと呼び、奈良時代から現在まで用いられています。染織品によく使われています。

短冊文〈タンザクモン〉
和歌や俳句、絵などを書く細長い色紙(料紙)を文様かしたもので、一般的にはその中に草花で小紋柄、文字などが描かれています。また、樹や竹に短冊をさげた文様も見られます。

辻が花〈ツジガハナ〉
室町末期から桃山時代にかけて作られた、絞りを基調とした文様染のことをいいます。草花を図案化し、白・茶・紫・藍を主体に絞り染めと墨ざしによる繊細な描き絵で表わし、摺箔や刺繍を加えた美しい染めです。製作年間が短くかき消すようになくなったことから、幻の染といわれています。

槌車文〈ツチグルマモン〉
水車の輪の回りに柄杓〈ヒシヤク〉をつけた揚水車〈アゲスイシャ〉を原形にした文様で、槌の形に似ていることから槌車と呼ばれるようになりました。車輪には、六本輻〈ヤ〉と八本輻〈ヤ〉のものがあり、観世水や青海波風の水門と共に構成される場合がよくあります。

鼓文〈ツヅミモン〉
鼓は朝鮮から伝わった打楽器の1つですが、能楽の流行につれて盛んになりました。その優雅な形を文様化し、紐や革を巧みにデザイン化したり、色彩豊かな組紐や花などをあしらって用いられます。キモノや帯、羽織裏などに使われ、家紋にも見られます。

露芝文〈ツユシバモン〉
芝草に露が降りた状態を文様化したものです。三日月形に描いた芝草に小さな水玉を添えた文様は、夏のキモノや帯に涼をもたらすということで多く用いられています。また地紋にも多く見られ、他の文様と共に四季を問わず用いられています。

鶴菱文〈ツルビシモン〉
二羽の鶴を組み合わせて菱形の中に配した文様で織物によく用いられます。(双鶴文参考)

遠山文〈トオヤマモン〉
遠くに見える山並みを文様化したもので、古くから絵画や工芸品にも表されてきました。染織品ではけわしい山ではなく、なだらかな半円形のものが多く用いられています。絞りや小紋型では、山の輪郭線に近い部分は細かい点で埋め、袖にいくにしたがって粗くぼかして表現しています。

木賊文〈トクサモン〉
木賊は羊歯〈シダ〉類の常緑多年草で、細い円筒形の節のある植物です。棒状を並べた単純な形が好まれ、能装束や友禅染にも用いられています。木賊だけを円形に構成した木賊丸文の他に、鎌や兎などと共に配されたものなどが見られます。

熨斗文〈ノシモン〉
熨斗は、鮑〈アワビ〉の肉を薄くはいで引き伸ばし、紙の間にはさんで祝儀の進物や引出物に添えたのが始まりで、延寿〈エンジュ〉のしるしというめでたいものを文様化したものです。江戸中期の振袖にすぐれた作品があり、また、束〈タバ〉ね熨斗や暴〈アバ〉れ熨斗など様々な形に文様化されています。

初音文〈ハツネモン〉
「源氏物語」の初音の巻より発祥した文様で、江戸時代、調度品などに流行しました。老松・梅・鶯の文様に葦手風に文字を配し、初音の巻の中の歌の意味を表したものがあります。

花籠文〈ハナカゴモン〉
様々な花を籠に盛った形を文様化したもので、中国の古事から瑞祥〈ズイショウ〉とされています。江戸時代から使われている日本的で優雅な文様です。四季を通じて用いられる文様で、秋の草花を盛ったものは、夏のキモノに用いられています。

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